中医学・漢方薬で良く聞く「気(き)」って何?
「元気ですか?」「気が滅入る…」「気が散って…」「気を揉んで…」 「気が休まらない…」
日本では、日頃から「気」と言う言葉を使う機会が多いので、なんとな~く「気」と言う概念もすんなり受け入れる事ができるのではないでしょうか?
また、合気道をはじめとする武道では気の鍛練が必須なので、概念だけではなく、実感として「気」を捉えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
中医学で「気」とは、人体を構成する物質のひとつで、生命のエネルギーと考えています。
この「気」には作用や種類、「気」が関わる病症があるので、チェックしてみましょう。
気の作用
①推動作用【気はものを動かす】
気は血や津液、汗、尿、便などを動かしたり、排泄する働きがあります。
また各臓腑の活動も気の働きで促進します。
②温煦作用【気は体を温める】
体温を維持する働きがあり、温煦作用の低下が冷えに繋がります。
③防衛作用【気は外邪の侵入を防ぐ】
気は体表を保護し、外からの病気を防ぐ働きがあります。
風邪をひきやすい方は、この防衛作用の低下が考えられます。
④固摂作用【気は過剰な排泄、出血を抑え、内臓の位置を保つ】
気は出血など必要なものが漏れ出てしまう事や、内臓などが下垂することを防ぐ働きがあります。
内臓下垂もこの作用の低下が影響しています。
⑤気化作用【気はものを変化させる】
気は血や、津液など体に必要なものを作るとともに、不要な水液を汗や尿に変化させる働きがあります。
⑥営養作用【気は栄養に関わる】
気は血と同じように栄養作用がある為、営養作用の低下で痩せたり、疲れ易くなります。
気の種類
①元気【最も重要で基本となる気】
真気や原気とも言われ、各臓腑の働きを助け生命力の源。
②宗気【胸中に存在する気】
肺とともに発声や呼吸を行い、心とともに血の循環をする気。
③営気【血の生成に関わる気】
血の生成に関与し、更に全身を栄養する気。
④衛気【体内・体外を巡る気】
体表を保護し、外邪の侵入を防ぎ、更には汗線の調整をして、体温を維持する気。
また、皮膚や筋肉、臓腑を温める働きもあります。
⑤臓腑・経絡の気【各臓腑・経絡に存在する気】
各臓腑・経絡の中にあり、生理機能に関与する気。
気の病と漢方薬
①気虚【気の不足】
気虚の特徴は、元気がなく、疲れやすい状態です。
ちびまる子ちゃんに登場する「山根くん」タイプです!(笑)
症状:元気が無い、疲れ易い、息切れ、風邪を引き易い、汗をかき易い、胃下垂、不正出血、食欲不振、痩せる、下痢し易いなど…
漢方薬:麦味参顆粒、補中益気湯、衛益顆粒、健脾散顆粒、霊黄参など…
②気滞【気の巡りが悪い】
気滞の特徴は、張りがありスッキリしない事です。
同じく、ちびまる子ちゃんの「前田さん」タイプです!
症状:張りがある痛み、痛む場所がよく変わる、ため息が多い、イライラ、ストレスが多い、怒りっぽい、リラックスできない、喉の違和感など…
漢方薬:
逍遥散、開気丸、半夏厚朴湯、抑肝散、感應丸氣など…
まとめ
病は「気」からと言われるように、中医学では「気」の存在を避けては通れません。
目に見えないものですが、実際に体からのサインとして、「気」を感じる事は出来ると思います。
検査では問題ないけど、体調が悪い時や、精神的に調子が落ち着かない時は
「気」を調整する漢方薬が効果がありますので、是非ご相談ください。