生理痛(月経痛)・月経困難症と漢方薬
生理痛がつらい…
もともと重いので仕方ない…
痛み止め飲めば平気です…
生理痛は仕方のないものと諦めてしまっている人が多いですが、実は体質に合わせた漢方薬や生活面での養生で改善が期待できます。
そもそも痛み自体、人とは比べられないので、「こんなもの…」と生理痛があるのが当たり前と思ってしまいます。
でも、中医学では生理痛がないのが当たり前です。タイプをチェックして、生理痛をガマンしない生活を!
※重い痛みには、「子宮内膜症」や「子宮筋腫」が隠れていることが多いので、婦人科の受診も必要です。
生理痛・月経困難症の種類と対策(西洋医学)
生理痛(月経痛)は、月経中に下腹部が痛いと感じる症状で、多くの方が悩まされています。
さらに月経困難症は、生理痛に加えて、腰痛、腹部膨満感、悪心、頭痛、疲労感などの随伴症状を伴い、日常生活に支障を及ぼす状態をいい、何らかの疾患がある器質性月経困難症と、疾患を伴わない機能性月経困難症があります。
・器質性月経困難症
→子宮内膜症や子宮筋腫などが原因に。生理の時期以外にも痛みがある場合も。年齢に伴い徐々に悪化。
【対策】
NSAIDs:ロキソニンやイブのような痛み止め
ブチルスコポラミン:子宮の過度な収縮を緩めギューっと絞られるような痛みを和らげる(ブスコパン、エルペインなど)
低用量ピル(LEP):ルナベル、ヤーズなど
原因疾患の治療:子宮内膜症や子宮筋腫など
・機能性月経困難症
→痛みの原因となる疾患なし。月経開始より2、3日が特に痛みあり。年齢とともに軽減。
【対策】
器質性と同じ(NSAIDs、ブスコパン、低用量ピル)
生理痛・月経困難症のタイプと漢方薬
漢方薬では、痛みの特徴や経血の状態などを考慮して大きく3つのタイプに分類されます。
また漢方薬を服用の場合は、生理痛がある時だけではなく、日頃から服用する事で、痛みが出ない状態を作るのが目的です。
・気滞血瘀(きたいけつお)
☑︎生理前、生理中に下腹部が張って痛む
☑︎お腹を抑えると、かえって痛む
☑︎経血の色が暗い、塊がある
☑︎生理前後に胸が張って痛む
☑︎ストレスが多い
「不通即痛(ふつうそくつう:通じざれば即ち痛む)」と言い、気血の流れが悪いと痛みになります。
【対策】
漢方薬:芎帰調血飲第一加減、冠元顆粒、逍遥顆粒、桂枝茯苓丸など
養生:ストレス対策、スーッとする柑橘類や香味野菜、アロマなど
・気血両虚(きけつりょうきょ)
☑︎生理の後半や生理後にシクシク痛む
☑︎お腹を抑えると、若干和らぐ
☑︎経血の色が薄く、量が少ない
☑︎疲れやすく、顔色が悪い
「不栄即痛(ふえいそくつう:栄ざれば即ち痛む)」と言い、生理に必要な気血が足りなくとも痛みが出ます。
【対策】
漢方薬:婦宝当帰膠、心脾顆粒、当帰芍薬散など
養生:睡眠をしっかりとる、無理をしない、冷たいものや消化の悪いものは控えるなど
・寒凝胞中(かんぎょうほうちゅう)
☑︎生理前、生理中に下腹部が冷えて痛む
☑︎冷えると悪化し、温めると痛みが和らぐ
☑︎経血量が少なく、色が暗い
☑︎手足が冷える
「寒は痛みを主る」と言い、過剰な冷えにより経血の動きが停滞し痛みが起こる状態です。
【対策】
漢方薬:温経湯、当帰四逆加呉茱茰生姜湯など
養生:とにかく体を冷やさない、冷たいものを控えるなど
まとめ
タイプによって対策は変わりますが、一番大切なのは生理痛があるのが当たり前と思わない事です。
他人と比べようがないので、痛みで生活に支障が出ないかをチェックして、無理をしないようにしましょう。
そして生理痛をガマンする習慣を辞め、生理痛がひどければ、しっかり休む事。
生理痛がなくなる状態を目指すとともに、もし生理痛がひどければ、休んで当たり前の社会になるように変えて行きましょう。