子宮筋腫と漢方薬
子宮筋腫とは?
子宮筋腫とは、子宮の筋肉内にできる良性の腫瘍です。
婦人科疾患の中で最も多く、妊娠適齢期の20〜30%が子宮筋腫を持っていると言われています。
できる場所や大きさ、数により、症状や対処法が変わります。
子宮筋腫の症状
子宮筋腫の約半数は無症状で経過する事が多いですが、主な症状としては、過多月経(経血量が多い)、月経困難症(月経に伴い生活に支障をきたすような症状がでる)があります。
その他の症状としては、貧血、不正性器出血、不妊、圧迫症状(頻尿、排尿障害、便秘、腰痛…)などが見られます。
子宮筋腫のタイプ
・筋層内筋腫
子宮の筋肉内にできる筋腫で、最も多く全体の約70%を占めます。多発しやすいのが特徴です。
・粘膜下筋腫
子宮内膜直下にでき、子宮の内側に向けて大きくなります。発生頻度は5〜10%ですが、最も症状が強く出易いです。
・漿膜下筋腫
筋腫が子宮漿膜の直下にでき、全体の10~20%の頻度で発生します。一般的には無症状の事が多いですが、稀に茎捻転を起こすと急性の症状が起こる事があります。
西洋医学での治療
・経過観察:筋腫が良性で自覚症状がない場合は、3~6ヶ月毎経過を観ます。
・薬物療法:子宮筋腫はエストロゲン依存性のため、下垂体の機能を抑制し、エストロゲンの産生を抑えるGnRHアゴニストにより偽閉経状態を作り筋腫を縮小させます。閉経近くや妊娠希望でも、すぐに妊娠予定の無い場合、手術前に筋腫縮小目的でも使用します。
注射薬:スプレキュア、リュープリン、ゾラデックス
点鼻剤:スプレキュア、ナサニール
・筋腫核出療法:妊娠希望で子宮を保存して、筋腫のみを核出します。
・子宮動脈閉塞術:妊娠の予定がな場合、筋腫に栄養を与える血管を遮断して壊死、縮小させます。
・対症療法:貧血や月経痛に対し、鉄剤や鎮痛剤などで対応します。
・子宮全摘術:筋腫が大きい場合や悪性の疑いがある場合。
漢方薬での対応
中医学的には、子宮筋腫のような腫瘍やしこりは血の流れが滞っている「瘀血(おけつ)」の状態と考えます。
瘀血は腫瘍やしこりだけでなく、痛みが出る特徴もあるので、血の流れを改善する事で、痛みを軽減する目的があります。
瘀血の原因は冷えやストレスなど原因は様々ですので、血行を改善する爽月宝 や血府逐瘀丸 などをベースに体質に適した漢方薬・サプリを併用します。
また、過多月経の場合は血の流れを良くするだけでなく、止血や止痛の働きが期待できる三七人参 (田七人参)も良く使われます。
血流が悪くなる原因は、冷えや日頃のストレスなど様々な影響があります。漢方薬の対応も大切ですが、まずはできる範囲でストレス対策や生活習慣の改善に取り組みましょう。