咳と漢方薬!
咳とは?
乾燥する時期になると、咳でお困りの方が増えますね。
咳のせいで眠れなくなったり、体力が消耗したり、長引けば長引く程やっかいな症状ですね。
咳とは正確には咳嗽(がいそう)と呼びます。
本来は気道に入った異物を除去するための体の反応なので、無理に止めれば良いと言うものではないですが、睡眠に影響が出たり、尿失禁を伴ったり、咳のせいで骨折をしたりと、生活に支障が出ることも多いので、適切なコントロールが必要です。
咳嗽の治療薬
現在病院で使われる咳を止める薬(鎮咳薬)は下記のタイプがあります。
・中枢性(麻薬性/非麻薬性)鎮咳薬
延髄にある咳中枢の興奮を抑えることで、咳を止めます。
麻薬性:フスコデ、カフコデーNなど
非麻薬性:アスベリン、メジコン、フラベリックなど
・末梢性鎮咳薬
気道や肺胞の壁にある受容体への刺激を減らすことで、結果的に咳を止めます。
具体的には、去痰薬、うがい薬、気管支拡張薬などがあります。
去痰薬:カルボシステイン、アンブロキソールなど
気管支拡張薬:テオフィリン、メプチン、スピロペント、オンブレスなど
また、上記以外にも降圧剤の副作用による咳には薬の変更、逆流性食道炎による咳には胃酸を抑える薬、咳喘息の場合は、気管支拡張薬に加えて、吸入ステロイドや抗ロイコトリエン薬が使われます。
咳嗽と漢方薬
中医学で咳嗽は、細かくは咳と嗽に分かれます。
咳:有声無痰為咳・・・咳の音があり、痰が無いものは咳
嗽:有痰無声為嗽・・・痰があって、咳の音が無いものは嗽
上記の差はありますが、実際には両方同時に出ることが多いため、咳嗽と呼ばれます。
使う漢方薬は、咳の原因や性質から選びます。
・風寒犯肺(ふうかんはんはい)
冷えによる風邪に伴い起こる。薄くて白い痰、水っぽい鼻水、鼻づまり、頭痛など
漢方薬:小青竜湯、参蘇飲など
・風熱犯肺(ふうねつはんはい)
熱っぽい風に伴い起こる。黄色く粘る痰、口や喉の渇き、呼吸が荒いなど
漢方薬:天津感冒片、麻杏甘石湯など
・痰湿内蘊(たんしつないうん)
脾胃(消化器系)の症状と伴って起こる。痰が多く粘る、胸がつかえる、食欲不振、下痢など
「脾は生痰の源となし、肺は貯痰の器となす」と言われ、痰を作るのは脾胃に原因があると考えられます。
漢方薬:半夏厚朴湯、六君子湯など
・肝火上炎(かんかじょうえん)
ストレスに伴って起こる。イライラ、のぼせ、脇腹の張りや痛み、痰は少なく粘る、口が苦いなど
漢方薬:瀉火利湿顆粒など
・陰虚肺燥(いんきょはいそう)
咳が慢性化した時に起こる。乾いた咳、夜間の咳、痰が少なく切れにくい、不眠など
「肺は気の主、腎は気の根」と言われ、深く息をしっかりと吸い込むことを納気(のうき)といい、腎の働きになります。
漢方薬:麦門冬湯 、滋陰至宝湯 、滋陰降下湯 、八仙丸 など
まとめ
咳が出ている時は、周りの人にも気を使うし、疲れるし、眠れないし、本当に良いことが一つもないですね。
でも、前述したように、本来は異物を外に追い出すための大切な反応です。
ただ抑えるのではなく、原因に合わせて対処するのが肝心ですね。
また、どんなタイプの咳でも長引かせないように、早めの対処が何よりも大切です。
たかが咳とは済ませず、しっかり病院や薬局で相談しましょう。
*追加*
軽い咳でや乾燥感であれば、食事でも対応が可能です。
梨、はちみつ、ユリ根、杏仁豆腐、大根、からし菜、トマトなど対応する食材も多いので、食事で対策したい方にも、漢方薬と一緒にご提案いたします。