不妊治療の保険適用まとめ
明日2022年4月から、不妊治療の保険適用が開始されます。
これまでの検査や基礎疾患の治療以外にも、一般不妊治療・生殖補助医療(ART)ともに保険が適用されますので、今一度治療内容をチェックしてみましょう。
タイミング法
夫婦ともに検査に異常がなく、妊活期間が短い場合には、性生活と排卵のタイミングがズレているのでは?と考えて、タイミングを図ります。卵子は排卵後12時間程度、精子は射精後2〜3日の寿命と言われております。その為、排卵の3日前から排卵翌日までの5日間に、1日おきくらいの頻度で性生活を持つと妊娠する確率が上がります。
【適応】
・排卵に問題がない、または排卵誘発剤で排卵可能
・卵管の通過性に問題がない
・精子の数や運動数などに問題がない
タイミング法における、卵胞の大きさやホルモン値の確認、排卵誘発剤の内服薬や注射剤が保険適用となります。
人工授精(AIH)
精液検査の所見やフーナーテスト不良、または性交障害などにより自然妊娠が難しい場合に人工授精が適応されます。
精子を子宮内に注入するプロセスにより“人工”と名がつきますが、他は自然妊娠と同じ流れです。
人工授精で妊娠される夫婦の多くが3周期以内の為、3〜6周期が目安となります。
【適応】
・排卵に問題がない、または排卵誘発剤で排卵可能
・卵管の通過性に問題がない
・精液調整後の精子の数や運動精子数にあまり問題がない
・軽度の抗精子抗体がある
治療内容はタイミング法にプラスして、精液の採取、洗浄や濃縮後に、子宮内腔に注入されます。
この一連の費用が保険適用となります。
体外受精(IVF)・顕微授精(ICSI)
体外受精・顕微授精は生殖補助医療(Assisted Reproductive Technology)と呼ばれ、受精や胚の培養を体外で行い、その胚を子宮へ移植して、着床、妊娠を目指します。
体外受精は体外で卵子に精子をふりかける方法で、顕微授精は卵子に精子を直接注入する方法です。
【適応】
・排卵に問題がある
・卵管の通過性に問題がある
・抗精子抗体がある
・一般不妊治療を行ってきたが結果が出ない
・精子の数や運動精子数が極端に少ない(ICSI)
体外受精・顕微授精の際の、採卵や採精、体外受精または顕微授精、胚培養、胚凍結保存、胚移植のそれぞれの治療過程に保険が適用されます。またオプションとして、卵子活性化、アシストハッチング、高濃度ヒアルロン酸含有培養液が保険適用になり、さらに先進医療として、タイムラプスや子宮内最近叢検査など追加されるものも多数あります。
※年齢・回数制限 (過去の治療実績や助成金利用の実績はカウントされません。)
治療開始において、女性の年齢が43歳未満であること。
初めての治療開始の女性年齢が40歳未満の場合は、1子毎に通算6回まで。
初めての治療開始の女性年齢が40歳以上43歳未満の場合は、1子毎に通算3回まで。
まとめ
2019年の統計では、約14人に1人がART治療により誕生しています。
この現状を考慮すると保険適用により少しでも負担が減り、治療に積極的になる方が増えるのは、とても明るい話題と言えると思います。
また、保険適用によりハードルが下がり、不妊治療を特別扱いする事なく、より身近に感じていただけることが、何よりも良いことだと思います。
詳細:厚生労働省