うつと漢方薬
中医学には、「鬱症」という言葉があります。
これは「うつ病」に比べて範囲が広く、現代医学のうつ病に限らず、自律神経失調症、更年期障害、不眠症、気分障害などを含んだ考えになります。
具体的には、憂鬱、イライラ、悲しい、泣きやすい、喉のつまり、不眠、不安、食欲不振、動悸などの症状を指します。
症状によって用いる漢方薬が変わってきますので、どのタイプかチェックしてみましょう。
肝気鬱結(カンキウッケツ)
☑︎憂鬱でよくため息をつく
☑︎情緒不安定
☑︎胸の脇やお腹が張る
☑︎食欲不振
☑︎便通が不安定
☑︎月経不順
ストレスを発散できない状態で、上記の症状以外にもイライラや口の苦み、偏頭痛、耳鳴りなどの症状を伴うこともあります。
漢方薬:逍遥散、加味逍遙散、四逆散など
気滞痰鬱(キタイタンウツ)
☑︎胸のつかえや重苦しさ
☑︎喉のつまりや違和感
☑︎食欲不振
☑︎吐き気
☑︎めまい
☑︎モヤモヤする
ストレスだけでなく、胃腸の働きも落ちてしまっている状態で、胸の圧迫感を伴う事が多いです。
漢方薬:半夏厚朴湯、竹茹温胆湯、黄連温胆湯など
心脾両虚(シンピリョウキョ)
☑︎不眠(夢をよく見る)
☑︎不安感が強い
☑︎動悸
☑︎倦怠感
☑︎食欲不振
☑︎忘れっぽい
症状が長引くと心血が消耗して、心脾両虚の症状が出やすくなります。
漢方薬:帰脾湯、甘麦大棗湯、酸棗仁湯など
陰虚火旺(インキョカオウ)
☑︎動悸
☑︎めまい
☑︎耳鳴り
☑︎不眠
☑︎寝汗
☑︎のぼせ(火照り)
上記の症状以外に、足腰のだるさや生理不順、イライラなどを伴うこともあります。
漢方薬:六味地黄丸、天王補心丹、亀鹿二仙膠加減など
まとめ
上記は教科書的な大まかな分類になりますが、実際に店頭で相談していると、とにかく「疲れきっている」と言う印象の方が多いです。「病は気から」と言うように、気が足りない、気が巡らない、といった状態は、鬱症の原因になります。
その「気」を補い、巡らす為にも上記の漢方薬は大切ですが、それ以上に大切なのは、睡眠と食事、そして運動などの気晴らしです。どれも満足に…と言うのは難しいですが、少しでも早く寝る、美味しいものを食べる、お散歩する、趣味に没頭する…など、少しずつ無理なく出来る範囲で、自分をいたわりましょう。